0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
そう。これが一番美由紀の霊感体質がちょっとおかしいんじゃないかとおもわれている原因だ。
見えていると本人が言う幽霊が「落ち武者」「女性」とかならいい。
しかし「戦隊ヒーローが見えた」「猫耳少女が歩いてた」「熊のぬいぐるみが飛び跳ねてた」という事を言う美由紀は誰からも信じてもらえなかった。
そんな中、唯一といってもいいくらい信じているのが理沙だった。
というより「いたら面白いな」的な雰囲気で話を聞いているのだが、話を聞いてくれるというだけで美由紀の心は随分と軽くなっていた。
「この前は全裸の中年おじさんだったね」
「あれは酷かったよう……」
「まあ……家帰ってまたお清めしてもらいな」
ぽんぽんと美由紀の頭を叩く。美由紀の実家は市内のお寺だ。
「そうするよう」
「ほんじゃ、ここでお別れしよか。大丈夫?」
「大丈夫」
見れば、美由紀の顔には笑顔が浮かんでいた。
それを見て理沙の顔にも笑顔が浮かぶ。
「また夜にLINEで話そうぜー」
「うんまたねー」
駅の外に出た二人はそれぞれ方向が違うため、左右に分かれて手を振りあい、それぞれの道を行く。
最初のコメントを投稿しよう!