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理沙は気づかなかった。
ウォークマンに集中しすぎながら歩いていていつの間にか車道に出ていたことに。
理沙は気づかなかった。
ウォークマンの大音量の音楽が自分に迫ってくるトラックのブレーキ音やクラクションを打ち消していたのに。
ようやく気付いたのは音楽と音楽の切れ目。
「危ない!」
「へ?」
誰とも知らない通行人の声にようやく顔を上げる。
見えたのは歩行者信号の赤。
聞こえたのは右からのブレーキ音。
悲鳴。
悲鳴。
悲鳴。
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