始まりの物語~あなたの旅立ち~

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魔物避けの高い塀が檻のように囲まれている村の外れ。 沢山の人間たちが焼けるような日の下に集まっていた。 集まった者の眼前には、赤と金で彩られた見るからに高貴な椅子。 それに腰掛ける、少し太り気味で所々白く斑(まだら)な口髭を生やした男は、おそらく長なのだろう。 どこか疲れた様子の険しい顔付きで、集まった人間を見渡している。 「ここに集まりし者は戦う事を自ら決意し名乗り出た、真の勇者たちだ!」 口髭の男が勢いよく立ち上ったかと思うと、高らかにそういい放つ。 200余りの人間達が広場に密集し、そのほぼ全員が背中に自らの身長と同程度、あるいは少し大きいぐらいの使い込まれた大剣を背負っている。 年齢は様々で、口や顎に濃い髭を蓄えた厳つい顔面の者から、まだ髭すら生えた事が無いのではないか、という若い者まで居る。 男ばかりのむさ苦しい集団だが、女の姿も多少見受けられた。彼女らは腰の両方に短剣を携えたなりで、俊敏な出で立ちが多い。 「我らの願い! そなたらが無事、帰還すること! 戻り、我々、残される者と酒を酌み交わす日が来ることを切に願う!」 その言葉が終わる瞬間、集団の後ろに位置する巨大な門が開かれた。
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