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……ああ、これは俺に向けられているのか。
そんなことを客観的にというか、他人事のように見ていると、ようやくその問いと視線が俺に向けられていることを意識してしまって、テンパってしまった。
なにしろ、今まで俺が見てきた女子では断トツに可愛い。それに加え、俺は女子限定で人見知りだ。どうしよう、どう返そう。そう考えていると。
「ねえ。………無視は、少しさみしい」
「……!ああ、ごめん。えーっと、その……」
聞きたいことはあるのだけど、今いちどう聞けばいいのか分からない。
「……あなた、名前は?私は盾川凪瑳」
「盾川、凪瑳さん……盾川さんね。俺は九重絆だ。とりあえず……よろしく?」
「うん。よろしく。早速だけど絆、私も知ってることは少ない……むしろ、知らないことばかりなのだけど、もうここに留まってなんだかんだ2時間はいる。歩きながら話す」
「え……?お、おう」
そう言って彼女……盾川さんは森を歩き出す。
「えーっと、盾川さん?ちなみにこの森からの出方は、知ってる?」
盾川さんはこの質問に「ううん。知らない」と答えた。ただここで反対しても、俺は分からないことだらけなので、大人しくついていく。
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