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盾川さんは、歩きながら言う。
「まず、ここは今すぐに言っても信じてくれないだろうけれど、というか私も信じたくないけれど信じざるを得ない、という状況なのたけれど。言ってしまえば、多分ここは異世界。にわかに信じがたいけれど、私はここでさっき地球にはおよそ存在し得ないような生き物を見たのよ。納得してくれるかは分からないけれど、とりあえず……」
「え?え?ちょ、ちょっと待って!」
盾川さんは早口で一気に語り出す。ていうか疲れないのかな……一応樹海(?)みたいなところ歩いてるから足元ゴツゴツしてるんだけれど。
「少し待ってよ。つまり、どういうこと?俺たちは、なんか知らないうちに異世界にきて寝ちゃってたんですってわけ?さすがに無理が……」
「シッ……」
突然盾川さんが手を横に出し、静かにしろとジェスチャーをしてくる。何事かと立ち止まり、盾川さんに倣って草の影に隠れていると。
ズシン、と。
おおよそ日常生活では聞かないような音が聞こえた。何かを踏みしめて歩く音。こんな音、重機か何かで森を切り倒していかなきゃ聞けないんじゃないだろうか。
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