プロローグ

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 何も言わずに出てきた俺は最低だと思うか?  そりゃ、実の親を避けるような行為は認められたものじゃないだろう。  でもあんな親の姿を見ているのは耐えがたかったんだ。  いつも通りの澄んだ淡い青の空を見て自問自答する。  親父が死んだ理由は単純な交通事故。  土木関係の仕事をしていた親父は朝早くに積荷を手早くトラックに載せていた。  そこから察するに急いでいたんだろうな。  俺は学校に行こうとして玄関の前にいた親父を見ていたからなんとなくわかった。  あとは知らん。  警察の言い分によると交差点での接触ーー相手側が信号を無視して突っ込んできたというものだ。  頭を強く打った親父は即死だったらしい。  そこからは記憶が曖昧なんだが、学校に連絡がきて親父が眠る病院を訪れただっけな。  病院で泣き叫ぶ母さんの横で親父の死体をただただ眺めていたような記憶がある。  なんにしてもあれ程不幸な出来事は俺の人生でも初めてだったわけだ。  それで、今に至ると。  俺は歩き今は閑散としている駄菓子屋の前を通って学校とは反対方向の道を進む。  不幸中の幸いとして親父の生命保険が降りたのと親戚達のおかげで学校を卒業出来るまで不自由無く暮らせるらしい。  俺にとっちゃ学校なんてどうでもいいのだがな。  路地を道なりに進み適当に歩いていたら大通りに出ていた。  取り敢えずはぶらぶら散歩といきますか。
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