プロローグ

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 さて何を買うかが問題だ。  137円で買えて尚且つ腹に溜まるもの。  それは……。 「ハンバーガーだ」  某有名ファーストフード店では安くうまいハンバーガーが売っている。  100円あったら行こう、と謳われる程だ。  でもそうそう歩いてて見つかるもんじゃない。  そこそこ大きい道だから一軒くらいはありそうなんだけどなー。  暫く散策してみようと決意。  だけど幸運なことに道路を挟んで向こう側にある赤いコントラストに黄色いロゴという看板をすぐに見つけることができた。  これでやっと飯にありつける!  手の中にある一枚のコインを握りしめ横断歩道を探した。  あそこにあるじゃん。つくづく運がいいな。  だが近付こうとしたところで。 「げっ」  横断歩道はあったのだが、そこに信号待ちしていたのは同じクラスの人。  名前は知らん。  クラスの連中とは絡みが少ないし、ましてや女だ。知るわけがない。  栗色の髪の毛を左右に縛ってーーツインテールだっけ?ーー赤いと生地に白のレースがついたリボンで結んでいる。  遠くからじゃよくわからないが横顔はかなり可愛いんじゃないか?  背はだいたい俺より20下の155くらいか。  紺のジャケット、デニムの長いパンツにヒール付きの茶色のサンダルを履いている。  なんだか近寄り難いなぁ。  耳にはイヤホンと携帯。  今時の女子高生を代表したような格好。  ちなみに俺は携帯すら持っていない。  あんま、ジロジロ見るのはよろしくないから青になったらダッシュで駆け抜けよう。うん、そうしよう。  俺は信号が赤から青に変わるまで遠くで待つ。  そしてその時がきた。
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