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はぁはぁ。
薄暗い。
ここはどこかの洞窟のだろうか、ゴツゴツした地面を踏みしめると足の裏を血が濡らした。
心臓の音が俺を焦らせ、交差する剣が火花を散らすたびにヒヤリと血液が冷たくなってくるのがわかる。
無機質な鉱物で出来た剣士の頭を剣で飛ばす。
姿は石で出来た鎧武者と言ったところだろうか。
見つけた敵に問答無用で斬りかかって光景はまるでゲームに出てくるモンスターみたいだ。
俺はここで延々とむかってくるこいつらを斬りまくっていた。
死んでたまるかよ。
その思いが俺に剣を振るわせた。
地獄にも等しいこの場所で人知れずに死ぬなんて絶対に嫌だ。
戦いながら走るがまだ光は見えない。
もしかしたらそんなものは無いのかもしれない。
戦っている内に鉱物の剣士はどんどん湧き一気に押し寄せてくる。
現実だ。
これは俺の妄想でもなく夢でもなく紛れもないリアルなのだ。
剣を弾き、間合いをとって石の胴体を斬る。
だが次第に俺は相手からの攻撃を捌けなくなり、左肩に鋭い痛みが走った。
幸いにも浅かったのだがそれだけでも命の危険を感じ、恐怖に身がすくんだ。
死にたくない!
鮮血が肩口から滴るがここでブレードを止めることは出来ない。
俺は叫び咆哮した。
その声はとどまることなく響き続けた。
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