プロローグ

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 学校というのは人間性の確立と一般教養を学ぶ為のものだと俺は考える。  コミュニケーション能力は社会に出てから非常に役に立つし計算などが出来れば難しい仕事も任せられる。  良いこと尽くめだな。  だけどそれには穴がある。  頭も悪く人付き合いが苦手な奴に居場所はあるのだろうか?  もちろん粗暴な行いをしなければ教師から見離されることはない。  だが俺は違った。  生まれつきの三白眼と逆立った剛毛、顎のラインはシャープ過ぎるくらいシャープだ。  これで不良と呼ばずしてなんと呼ぶ?  事実、何故か一年の時に上級生に「てめぇ、最近調子乗ってんじゃかよぉ」と決まり文句を言われ屋上に呼び出されたことすらあるのだ。  まぁ、幼少の頃からやっていた古武術のおかけで軽く倒したーーと言っても屋上から叩き落としてしまったのだがーーのだが。  しかも喧嘩最強の番長だったせいか教師からも距離を置かれ、本当に孤立してしまった。  不良グループに入ることも可能だったわけだが乗り気ではなかったしやっぱり1人になることを選んだ。  楽は楽。  イジメみたいに悪質な行為をする奴も不良の太鼓判を押されている俺にはなんもしなかったし、道を通れば端による。  しかしそれは同時に俺が現実に失望するようになっていくのだった。  この世は力がすべてで畏れを抑えてまでその力に近付こうとするものはいないことを。
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