プロローグ

5/14
前へ
/78ページ
次へ
 キーンコーンカーンコーン。  もはやこの世は何から何までつまらないと感じせるいつも通りのチャイムが鳴り、生徒全員が一斉に立ち上がった。俺以外を除いて。  これは始まりではない。  終礼だ。  つまりは授業が終わり帰る合図だ。  その授業をすべて寝るの一択で貫き通した俺は最後の終礼も顔をあげることなく終えた。  あれから体感では2時間くらい寝たはずだ。  だけど全然寝た気はしなかった。  それどころか不快感が毎回の如く俺を襲う。  俺の人生、こんなので良いのか?  心の中でモヤモヤが募る。  親が稼いだ金をドブに流し、時間をゴミ箱に捨て、行動に鎖をかけることに。  俺はその思いを振り切ってやっと起こした体で無理やり立ち上がった。  腕についている高校祝いにもらったロレックスの文字盤を見て時刻を確認した。  俺はこのロレックスーーサブマリーナデイトが気に入っている。  黒い文字盤にやや重量感ある感じがたまらない。  そして父親から始めて貰ったもの兼形見として大事にしている。  だがすぐに学ランの袖に隠すと俺は教室を飛び出した。  黒の文字盤の上にある針がさしていた時刻は7時15分。  急いで帰るほどでもないが今日はなんだかさっさと寝たい気分であった。  明日が休みってことで早くぐうたらしたいんだろうな。  今さっき起きたばかりなんだが。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加