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外はすっかり暗くなり何処かで犬が遠吠えしている。
ダークブルーに浮かぶ満月は青みがかかり、ほんわかとした光を発していた。
俺は坂を下りながらボケーっと空を見上げてる。
何を考えているというわけではない。
単純に空に視線を向けるのが子供の頃からの癖だっただけだ。
それは今でも続き満月や夕暮れ、澄んだ空を見る。
こころが洗われるような感覚がすごく気持ちが良い。
でもなんでこんな癖を身につけたのか、いつからやっていたのか。
俺の記憶にはない。
ようやく視線を元に戻すと駄菓子屋が見えてくた。
今はもう閉店時刻を過ぎている為、鎧戸が降りていた。
後ろから流れてくる心地よい風と共に歩みを進めた。
一つしかない足音。
呼吸。
それが夜の路上で一定で音を立ていた。
「俺、この先どうすんのかなぁ」
頭悪いし、なんの才能もない。
親の金を貪りながら毎日堕落した生活。
未来を危惧……というよりかは逃避したい気持ちで溢れている。
まだ後1年あるしなんとかなるだろと不安を和らげるように自分に言い聞かせた。
ただの言い訳にすぎない事はわかってるんだ。
だけど今考えても俺の小さなオツムじゃまともな回答を導き出せそうにないな。
未来がわかるのは神様だけ。
俺は信じちゃいないけど。
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