プロローグ

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 ずっと心が囚われている母親を見たくない。  部屋の扉を開け、中に入る。  鍵を閉めて閉じこもった。  12畳の中々広いフローリングの部屋。  俺は電気をつける。  それからよろよろと入り口から入ってすぐ横にある青いベッドに倒れこんだ。  近くに落ちていたリモコンを広い上げ、赤いボタンを押す。  直後キーンという音と共に32型のテレビが映像を映す。  特に見たい番組も無いので放置していたら最後に変えたと思われるチャンネルでニュースがやっていた。  もう嫌だ。  毎日、学校でも家でもあんなんで。  どこか遠くへ、遠くへ行きたい。 『今日未明、男性が路上で轢き逃げされたという事件で場所はーー』  全く興味の無いニュースを見つめる。  俺の「見つめる」は人に言わせれば「睨んでいる」らしい。  こんな顔に生まれたくなかったし、そもそも生まれたことを恨んですらいるのかもしれない。  もし別の人生が歩めるのなら俺はーー。  なんて思いながらテレビの光を受けていたらいつの間にか瞼がゆっくりと下がっていき、遂には意識も遠くの方へ出かけていた。  
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