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慶との電話を終えた後、そそくさと店内に戻り、汐里たちに事情を話してこのまま帰らせてもらうことにした。
「えー藍ちゃん帰っちゃうのかよー。」
つれねぇなあ、と呟く和泉くんにごめんねと形だけの謝罪をして、自分の荷物を整理して帰る支度を済ませる。
お店の窓から外をちらりと見たら、まだ雨脚はそんなに強まってないみたいだから、駅までちょっと走ればいけるかな…。
そんなことを考えながらあと10分で着くという慶からのメールに、急いでお店を出る。
あ、もちろん自分の分のお会計も忘れずに。
外にでたら、まだ小雨なのに傘をさしている人の多さに驚いた。
あれ、今日天気予報で雨って言ってたっけ…?
おかしいなぁと思いつつ、少し高めのヒールで濡れている路地を蹴りながら駅を目指す。
「ついてないなぁ…」
速人のことを聞かされるわ、帰りに雨降って合コン途中で帰る事になるわ。
「合コン行った罰かしら…。」
もう行くのやめようかな、と思っていたら、駅の大きな改札口に到着していた。
「慶にメールしよ…。」
スライドして携帯のロックを解除し、慶へのメールを打つ。
もうあと5分で着くとメールがきていた。
もう着いたよ、とメールして、ほかに何かメールが来ていないか受信BOXを見る。
ほとんどがメルマガの配信か、クーポンなどの勧誘メール。
…なんか私、悲しいオンナ…。
合コンには何度も行ってるけど、相手の男性とのメールは長続きしない。
なんか、別に付き合いたいわけじゃないし…その日限りで美味しいお酒といい男で夜を過ごせればそれでいい。
それに、私には本命いるし…。
「まぁそれなら合コン行くなって話なんだけどね…。」
どうにもこの癖は、治らない。
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