episode1

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慶との電話を終えた後、そそくさと店内に戻り、汐里たちに事情を話してこのまま帰らせてもらうことにした。 「えー藍ちゃん帰っちゃうのかよー。」 つれねぇなあ、と呟く和泉くんにごめんねと形だけの謝罪をして、自分の荷物を整理して帰る支度を済ませる。 お店の窓から外をちらりと見たら、まだ雨脚はそんなに強まってないみたいだから、駅までちょっと走ればいけるかな…。 そんなことを考えながらあと10分で着くという慶からのメールに、急いでお店を出る。 あ、もちろん自分の分のお会計も忘れずに。 外にでたら、まだ小雨なのに傘をさしている人の多さに驚いた。 あれ、今日天気予報で雨って言ってたっけ…? おかしいなぁと思いつつ、少し高めのヒールで濡れている路地を蹴りながら駅を目指す。 「ついてないなぁ…」 速人のことを聞かされるわ、帰りに雨降って合コン途中で帰る事になるわ。 「合コン行った罰かしら…。」 もう行くのやめようかな、と思っていたら、駅の大きな改札口に到着していた。 「慶にメールしよ…。」 スライドして携帯のロックを解除し、慶へのメールを打つ。 もうあと5分で着くとメールがきていた。 もう着いたよ、とメールして、ほかに何かメールが来ていないか受信BOXを見る。 ほとんどがメルマガの配信か、クーポンなどの勧誘メール。 …なんか私、悲しいオンナ…。 合コンには何度も行ってるけど、相手の男性とのメールは長続きしない。 なんか、別に付き合いたいわけじゃないし…その日限りで美味しいお酒といい男で夜を過ごせればそれでいい。 それに、私には本命いるし…。 「まぁそれなら合コン行くなって話なんだけどね…。」 どうにもこの癖は、治らない。
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