Prologue

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メールだ。 振動の短さで、そう分かった。 「…」 受信BOXを開き、差出人を確認する。 「…ふふ」 差出人が誰か分かったとき、さっきまでの鬱気分が嘘のように晴れた。 無意識についていたためいきは、笑顔にかわる。 ー…彼だ。 ピ、とメールを開く。 そこに書かれていたのは、予想していたものとおなじだった。 "一緒に帰れる?" そんな、短くて簡単な短文。 絵文字も、顔文字だって彼はあまり使わない。 でも、それでもいい。 彼からメールがきた、そんな事実だけでも、私は嬉しい。 「あ、返信…」 肝心な返信をするのを忘れていた。 彼のメールに、"大丈夫だよ!"なんて返信を書いて、送信ボタンをタッチする。 ー…今時、メールなんてあんまりしないけれど。 他のチャットのようなアプリや、無料通話ができるアプリが増えている今、あまりメールなんて使わない。 私だってそういうアプリはインストールしてあって、友達なんかと連絡する手段はメールではないけれど。 でも、彼は特別だから。
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