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呆気に取られて固まっている女を放置して、支払いしてコンビニから出た。
香水やら化粧やらで着飾っても、お兄ちゃんには敵わない。
お風呂上がりのシャンプーの匂いや、お日様のような…
何もしなくても、お兄ちゃんからはいい匂いがするのに。
「…ただいまー」
加那ちゃん家の玄関を開けたら、何故か静かだった。
…おいおい。人に酒買わせて寝たとか言わないよね。
加那ちゃんならあり得そうな展開に扉を開けたら、
案の定、加那ちゃんは酔いつぶれていた。
「…ハァ…お兄ちゃん?」
リビングのソファーに凭れているお兄ちゃんは、とろんとした瞳で俺を見上げた。
多分…俺がいない間にかなり飲まされたんだろうね。火照った顔で、酔って暑かったのか胸元のボタンがさっきより開けられていた。
「……んっ」
その扇情的な姿に、その肌に手を滑らせれば…
小さく吐息を漏らすから、お兄ちゃんの唇に俺の唇を重ねた。
久しぶりに逢って二十歳越えているのに、未だに子供扱いされているのはわかっている。
ねぇ、お兄ちゃん。
俺も1人の男なんだよ。
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