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乾かし終わったら軽くセットもしてあげて……
うん、可愛くてかっこいい。
「よっし!カンペキー!じゃぁ行こっかぁ」
「あぁ。もうそろそろ早めに出る一般生徒と鉢合わせるかもしれねぇ。出来るだけ早めにな」
「えぇ、急ぎましょう。」
少し会話をしつつ、まだ人通りの少ない通路を通って、ホテル顔負けの内装を持ち合わせたこの寮の一階エントランスホールへ出る。
学校の食堂もあるんだけど、行ったってまだ準備しきれてないだろうし。
そう思いつつ寮内レストランの並ぶ方を見る。
カフェはまだバタバタしてるけど、その隣だったら開けてるみたいだ。
「ねーねー、朝ご飯そこで食べよ?人少なさそうだしさぁ」
「あぁ」
「賛成です」
「ん……」
うんうん、満場一致!
そうと決まればさっさと自動ドアを通り、入ってすぐにずらっと並んでいるタッチパネルの前に各々立つ。
そこで始めに精算用のカードと指紋認証で注文し、席に着いたらその席のスキャナーにもう一度カードのみ通せば精算完了。
しかもそこにウエイターさんが届けてくれるときた。
誰とも話さなくたって注文できる、コミュ症にも安心安全な便利システムだね!
そんなことを考えながら近場の席につこうとすると、クイ、と引っ張られる。
「とーま、こっち」
言われるがままぐいぐいと一番上の階の席へと引っ張られて初めて、高等部の役職持ち……つまり生徒会や風紀委員会は最上階の席で食事を取るという暗黙の了解を思い出した。
「あ~そっかそっか、るーくんありがとぉ」
下の階でかざしかけたカードを今度こそきちんとかざして腰を落ち着ける。
思えば、あの奇想天外な入学から今日で3周年。中3でここに入った俺は、つまり今日から高校2年生だ。
最先端的な便利システムには慣れてきたけど、そう言うへんなシステムはまだ地味に馴染んでない。
ちなみに後から上がって来たしゅーくんと会長は迷いもなく堂々とこちらの席につき、ピ、とカードをスキャンした。
流石すぎる。
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