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「冬真」
しゅーくんがため息と一緒に吐き出すようにして俺を呼ぶ。
「んー?」
「貴方には嫌な噂が絶えないんですよ……もう少し振る舞いに気をつけろという意味です。それだから友達も少ないんですよ。」
「え~?余計なお世話だよぉ?」
よくわかんないなぁってフリをして、
でも心の中では最近の課題とも言える痛いところを突かれてるんだから、少し困る。
チャラ男おきまりの悪い噂……噂上の俺は、自分の親衛隊の子や可愛い子を取っ替え引っ替えしてあんなことやそんなことをしているという
実際のところはいくらこのキャラが板についてきたとはいえどもバリバリのノンケだ。
来る者拒まずならぬ来るものはさらっと受け流すスタイルだし、大方俺はこの学園に来てかなり早めの段階にでもいつの間にか少し根に持っちゃうタイプの子を振っちゃってたんだろう。
じゃなきゃ「あの人見た目チャラいけど全然引っかからない」路線がきちんと確保できる対応だと思ってたのに……
友達も100人くらい余裕で作れると、思ってたのにッ……!!((
まぁ、今のところ色々守れてる部分も多いわけだしプラマイゼロでアンパイかなとも正直思ってるけど。
「とーま……服、着た。」
「ん!じゃぁ髪かわかそっかぁ」
ワイシャツとスラックスを身につけてドライヤーを持ち、リビングルームからひょこっと顔を覗かせたるーくんのことろへ向かう。
かいちょーとしゅーくんが後ろでほっとしたように再起動した。
「はい、ドライヤー貸して?」
「ん…おねがい…」
正直、こんなくじ引きで決まったチャラ男キャラクターなんて、別に大事にする必要があるわけではないんだ。
でも……
「……とーま?」
はっと気がつくと、手を止めてぼーっとしてた。
「ごめ、熱かった?!」
「風、当たってない…」
首を振ってそう言うと、ドライヤーの風が吹いている方向に自分で頭を持っていく。
「ありゃぁ~ごめんねぇ?ふふっ、可愛いなぁ……これで俺よりも身長ちっちゃかったらもっと可愛いんだけど」
「もう……」
からかわれてると分かったるーくんにつん、と優しく小突かれながらきちんと乾かし始めた。
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