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 次の日、学校にいくのがひどく恐ろしかった。もしもあの女子生徒に二人の姿を認識されていて、それがクラスに広まっていたら。そう考えると頭が痛くなった。  三原は、まかせてくれ、と言った。だが、三原はあの女子生徒をどう対処したのだろう。なにか話をしたのだろうか。いつもみんなに接するような笑顔で、僕のことを売ったりはしていないだろうか。考えれば考えるほど、不安がつのった。  下足箱をあけると、そこには自分の靴がある。刃物で傷つけられてもいない。一応履く前に逆さにしても、画鋲は入っていなかった。ドアを開けても、黒板消しは落ちてこない。机に花も置かれていないし、天板に落書きもされていない。  クラスはいつも通りだ。僕はほっとして、自分の席に座った。日曜日に出した手紙が、三原に届くのは明日だろう。僕は死刑執行を延期されたような気分だった。
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