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「本気だとも。会員全員でサプライズパーティーだ」
会長は持参してきたバッグを逆さにした。中からはクラッカーやら三角の帽子やらが出てきた。
「……あとの二人は欠席だ」
僕の冷たい視線にたえきれず、会長は目を背けた。
「その時点で、日を改めるべきです」
しかも今日会長だけで来てしまったことで、次はサプライズにならない。まったく何てことしてくれたのだろう。ほかの二人がこの事を聞いたら、同じくそうおもっただろう。
会長はしょんぼりしながら、床に落ちたパーティーグッズをバッグに戻した。僕はその様子を眺めながら、渇いた口にコーヒーを流しこんだ。
「……会長、お願いがあるんです」
会長は手に持った鼻メガネをつかんだまま、僕を見た。
「なんだ?」
「僕を、シマウマの会に、戻してもらえませんか」
ひと言ずつ、丁寧に発音した。国語の音読より舌がなめらかなのは、きっとコーヒーのおかげだ。
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