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 会長はそっと手に持っていたパーティーグッズをつけると、無言でコーヒーに口をつけた。度の入ったメガネのうえからつけたパーティーグッズの縁が二倍になった。ついでに鼻の大きさも、二倍になった。 「嫌だね」 「ふざけないでください」  僕は二倍になった会長の鼻をにらんだ。 「ふざけてなどいない」  会長は真剣な顔で僕を見つめて、やれやれわかったよ、という表情でパーティーグッズをはずした。 「君はシマウマの会に戻ることは、できない」 「なぜですか」 「君かもう、シマウマではないからだよ」  そう言うと、会長は立ち上がり部屋のドアノブを回した。 「邪魔をした。お別れ会はまた今度にするよ」
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