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「それでは!新しい仲間、ジュリアちゃんの入団を祝してーー、かんぱーーい!!」
「かんぱーーーい!」
カルニカ島を出航したその夜、ナイト・タイド号では、ジュリアの歓迎会が行われていた。
新しいクルーが入った時には、甲板で宴会をするのがこの海賊団の習わしらしい。
全員が甲板に座り、酒や料理に手をつけている。
開始早々だというのに、乗組員のテンションはすでに最高潮だ。
どうにも海賊というのは酒好きらしい。
あちらこちらで、飲み比べが始まった。
ジュリアは、ふと隣に座った男を見やる。
戦闘で鍛えあげられた、バランスの取れた筋肉。
後ろで一つにまとめられた、くるくるとうねった黒髪。
そして、お決まりの海賊帽。
船長、ロン・ウィリアム。
通称【黒潮】
彼こそが、この荒くれ者どもをまとめあげる海賊船の船長だ。
彼も大層豪快に酒を飲むのだろうと思ったのだが、ロンは一人で静かに酒を飲んでいる。
自分で酒を注いでいるところを見ると、『この男が本当に船長なのだろうか』という疑問さえ抱いてしまう。
「飲んでる?ジュリアちゃん」
その時、一人の男が彼女に話しかけた。
艶のある金色の髪。
背が高く、細身の体。
そして人懐っこい笑顔に、彼女も顔をほころばせる。
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