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「ひどい。キャプテン」
また彼は、涙目になって訴えた。
だが、今度はロンに見向きもされなかった。
ロンはジュリアを振り返る。
「とりあえず、うちの幹部メンバーだけ紹介しておく」
「無視ッスか、キャプテン!?」
堂々とキールを無視して、ロンは一人の男の名を呼んだ。
「レイ」
すると、その声に気づき、一人の少年が駆けてくる。
オレンジ色のふわふわとした髪。
小柄な体。
海賊とは思えないあどけなさを持つ、笑顔。
その可愛らしさに、ジュリアはつい見とれていた。
「なんでしょうか、キャプテン?」
彼がロンの隣に立って、訊ねる。
ロンはジュリアに目を配った。
「レイ、うちの新人だ。自己紹介しとけ」
「はい」
少年はきちんとジュリアに向き直り、にこやかな笑顔を見せる。
「初めまして、ジュリアさん。僕、レイ・マクウェルです。料理長をしています」
「料理長!?」
彼女は驚いて、大声で聞き返していた。
どう見ても、彼が十代にしか見えないからだ。
するとレイは困ったような表情を浮かべる。
彼の代わりに、キールが答えた。
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