長月朔日(日)

3/3
前へ
/75ページ
次へ
   新婚夫婦ならば、毎日。  往年の夫婦ならば、以心伝心?  パートナー同士なら、毎日または時折。  残念ながら、ぼくはシングル。つまり、独り者。  独身貴族ではないのに、気が付いたら、いつの間にやら独身に。  トラウマとか、過去の闇とか、重荷とか無ければ、と幾度思っただろう。  こんな何の取り柄も無ければ、飄々としてヒョロヒョロ野郎を『愛している』と告げる者、甘く囁く者、ストレートに告げる者等奇特な者が、このただっ広い世界にいるだろうか。  【破れ鍋に閉じ蓋】て言葉がある。  いるのだろうな、世界に。  日本に、いるだろうか?  世間は狭いというけれど、世間は広いと思う。  道を歩けば、出会うのは近所の人、ぼくの過去に闇に染み込むような傷をつけた人に出会うだけ。  歩く道の範囲が狭いからか。  歩く距離が短いからか。  ぼくの視野が狭いからか。  視線、人の視線を恐れ不安を生み出し恐怖に化学反応して物言わぬ人形にさせる。  ゲームの攻略は、攻略本や攻略掲示板とかに記載されているだろうが。  これは、ゲームではない。  現実だから、面倒臭く完治しにくい。  担当医は長い目でいるが、ぼくの人生ってのは短いのか長いのかは分からない。  先見の明はゼロで未来予想も不可能な中。  ぼくは、後何年生(い)きられるのだろう。  何年、生(い)かされるのだろう。  何年、生きる気なのだろう。  
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加