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まさか、昨日の百足は今朝の揺れの前触れ?
怖い。噛まれなくて良かった。噛まれたら激痛どころか赤く腫れ上がる。毒を持った虫。
数日後に通院控える身としては、外出は不安でしかない。外に出た後、住処がペシャンコになってたなんて洒落にもならない。同情されるだろうが、結局は【他人の不幸は蜜の味】なのだね。
でも。ちょっとだけ。
前夜の百足は、彼女の化身かと思った。生き霊が操り襲わせてるのかと。
彼女は執念深い人だから。
夕方、外の静寂さに涙が勝手にこぼれた。
叫びたかった、百足見た時。
理性で抑えつけた、夜やったし近所迷惑やと。
実際叫べなかった。まるで、ぼくの喉は、声は、叫び方を忘れたみたいに。
以前叫んだのに、助けを呼んだのに、誰も助けてくれなかった。その日以来、ぼくは貝のように口を閉ざした。死んだ貝のように口を開けなくなった。
叫び方を練習すべきだろうか?
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