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「あんさんがそないに沈んどったかて、あの子は戻ってこんよ」
暢慶が立ったあの場所に立つのは桃魔。手には刀を握っていた。
暢慶の命を絶った刀。
奴の残りカスのようなもの。
残しておいては、紺喰姫を再び目覚めさす元になると破壊されたはずの刀。それが目の前にあった。
「簡単な封印の札は張っとる。もう、その程度で力を封じれるくらいなもんやさかい、安心せい」
そう言って、春の目の前に胡座をかいた。そして、刀を格子の隙間から差し入れ、そのまま、その刀を床面に突き立てた。
「これはアテの独り言やから、気にするな。アテが勝手に喋るだけやからな」
そう言って、物言わぬ春の目の前で桃魔は語り出した。
――――…‥・・
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