拾∥夏の梢

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でも、それはやったらあかんことやった。 何かを成し遂げるためには、必ず何かを犠牲にしなければならない。それこそ、人一人の命を蘇らそう思うんやったら、それなりのもんがいる。 刀は妖刀と化してしもた。 自分の名を呼んだ男の魂を喰らったんや。蘇った女が見たのは、かつて愛した男の躯。手には刀を握っていた。 女はその場で、自害した…………。 でも、そこに思いだけが残ってしもた。生にしがみつき、死を恐れることの愚かさを嘆いた。 これが紺喰姫の始まりや。 ――――…‥・・
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