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「まぁ、アテが伝え聞いたことやから、確証のない話なんやけどな。だいたいは、合ってるんやろうなぁって、アテはそう思っとる。そういう、強い思いがあったからこそ…………ってな。そう思わな、やってかれへんでな」
桃魔はそれだけ伝えると、立ち上がって尻を払った。
「そういやぁ、まだ一日しかたっとらんねんな。あの子が死んで。もしかしたら…………
まだ、間に合うかもしれんなぁ
…………まぁ、これもアテの独り言や。ああ、これは着替えな。鷹明師匠が持って行ったれ言うてはったから。鷹明師匠もな、何もあの子を死なせたいなんてな思ってなかった。だから、あんさんを通したんや。それだけは、解ったってくれ…………ほな、またな。鍵、開けとくさかい、早いとこお家へ帰りんしゃい」
格子の外にまっさらな着物と髪紐が置かれた。
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