230人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
桃魔は鍵のついた輪を指で回しながら階段を上っていった。意味深な独り言を残して。
それを見送ることもなく、春は無言で刀を見据えていた。輝きを失った刀身。
その脳裏には一つの単語が木霊していた。
『反魂の術』
蘇りの術…………。
春は急いで血の付いた着物を着替え、髪を結い直した。そして、刀を掴むと、着物を抱えて桃魔のあとを追って階段を駆け上がった。
「桃魔!」
渡殿を渡りきったところで、桃魔に追いついた。
最初のコメントを投稿しよう!