拾∥夏の梢

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桃魔は鍵のついた輪を指で回しながら階段を上っていった。意味深な独り言を残して。 それを見送ることもなく、春は無言で刀を見据えていた。輝きを失った刀身。 その脳裏には一つの単語が木霊していた。 『反魂の術』 蘇りの術…………。 春は急いで血の付いた着物を着替え、髪を結い直した。そして、刀を掴むと、着物を抱えて桃魔のあとを追って階段を駆け上がった。 「桃魔!」 渡殿を渡りきったところで、桃魔に追いついた。
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