拾∥夏の梢

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後悔は、あるかもしれない。 彼女はこれを望まないかもしれない。 否、望まないだろう。 怒るだろうな。 きっとそうだろうな。 それでも、やるのか? やる、のだろうな。 春は懐から呪具の玉を取り出した。桃魔が渡してきた衣の間に忍ばされていたものだ。赤い紐の着いた黒く濁った色をした掌で包めるほどの大きさの玉。これは、死者の魂を呼び出す神宝・死返玉(マカルカエシノタマ)だ。十種神宝のうちの一つで、鷹明が厳重に管理しているはずの物。 禁術を勧めたのはどうやら彼のようだ。 陰陽頭が弟子にそんなことをしていいものか…………。 春は苦笑した。 そして、印を結んだ。
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