拾∥夏の梢

12/16
230人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
春は右目を手で押さえ、左目を開いた。光はすでになかった。 右目を押さえていた手を離せば、そこには血がべったりと付いていた。右目は、開かなかったが、そこからドロリと零れるモノがあった。 これが、代償か…………。 思っていたよりも軽い。妖刀を依代にしたからだろうか?まぁ…………かなり霊力も込めたが………………、!! はっと、思い出したように春は、陣の中央を見た。 そこには、一人の少女が横たわっていた。 紺色の髪を持った美しい少女。白い着物に短い紺の袴を身につけた少年のような少女。細い腕の中に、真っ白な鞘に収められた刀を抱いていた。
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!