拾∥夏の梢

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少女はゆっくりと、瞼を開け、その青い瞳を春に向けた。 状況が解っていないのか、部屋をきょろきょろと見渡した。天井を見上げ、四方の壁を右から順番に見る。そして、床に視線を移すと、そこに描かれた陣を指でなぞった。そこでやっと気がついたのか、自分の両腕を眺める。 少女は目を春に向けた。 目を見開く。 その目が、春の手の中にある黒い玉を見て固まった。 『反魂の…………御前が、やったのか?やったのだな?』 「ああ」 『その目を対価にしてか!?』 「ああ」 『馬鹿!大馬鹿者の大うつけが!!』 「ああ」 『そこまでして……どうして…………』 春はその小さく細い体を抱き寄せた。強く、彼女を抱きしめる。
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