230人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
少女はゆっくりと、瞼を開け、その青い瞳を春に向けた。
状況が解っていないのか、部屋をきょろきょろと見渡した。天井を見上げ、四方の壁を右から順番に見る。そして、床に視線を移すと、そこに描かれた陣を指でなぞった。そこでやっと気がついたのか、自分の両腕を眺める。
少女は目を春に向けた。
目を見開く。
その目が、春の手の中にある黒い玉を見て固まった。
『反魂の…………御前が、やったのか?やったのだな?』
「ああ」
『その目を対価にしてか!?』
「ああ」
『馬鹿!大馬鹿者の大うつけが!!』
「ああ」
『そこまでして……どうして…………』
春はその小さく細い体を抱き寄せた。強く、彼女を抱きしめる。
最初のコメントを投稿しよう!