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「……もう、起こしてくれればよかったのに」
おそらくベッドに運んでくれたであろう理人のやや華奢だが適度に均整の取れた背中をぼんやり眺めていると、不意に寝返りをこちらに打った。
「………ん」
長い睫毛を揺らしてゆっくり目を開けた瞳と目が合う。
理人は現状を把握したようでにっこりと笑った。
―――あ、この笑顔はヤバい。ご立腹だ……!
「あ、えっと! ごめんなさい!ごめんなさい……」
なまじ顔が整っている分、理人の笑顔には妙な迫力が出る。
―――そして、『にっこり』笑ったときには特に要注意。
私は幼馴染との長年の経験から、反射的に両手で顔を覆いながら謝り倒した。
「………ねえ? ちゃんと反省しているの?」
目をこすりながらむくりと起き上った理人の、目を閉じていても感じる冷ややかなオーラに冷や汗が流れる。
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