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―――聴こえる。
何度も繰り返して覚えているAメロ、Bメロ、そしてサビ。
ヘッドホンから流れてくる1つの物語に身を委ねて、
私はそこから湧き上がる言の葉を紡いでいく。
「――……!!」
「んぎゃ!」
思いっきり肩をゆすぶられて、
心地よい浮遊感から全力で現実世界へと引き戻された。
「とも! 寝てる暇なんてないよ!」
ヘッドホンが外されて、少しハスキーな低い声で怒られた。
「………ごめん。私、寝てた?」
「寝てた、寝てた。その姿勢のまま固まってた」
曲を聴きながら溢れてくる言葉達に揉まれている中で、どうやら私は作詞途中でうっかり一瞬気を飛ばしてしまったらしい。
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