匣入り上手

2/2
前へ
/111ページ
次へ
「はやくおいでよ」と声が聞こえた こんな僕に何を望んでいるのだろう 詰まらないなあ みんな幸せになってほしいと、本気で思いながら 自分よりも恵まれた人がいるのは嫌だ 常にそんな滅茶苦茶な僕は 今日も只息をして生きる でも、それっていけないことなの? だって君も同じでしょう? 今更になって平穏を望むだなんて 確かにいただけない だけど君の価値観だとか理想だとか もうどうでもいいことなんだよ 僕に何を描こうと構わないから 勝手に掬おうとするのはやめて “好きに生きれば良いじゃないか” 知らない誰かの声にすがり付いては 今日も只息をして生きる そうして、ずっと疑問を噛み殺し続けていつか こんなものだよな、って 思ったときに死ぬんだろう
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加