差異化想

1/2
前へ
/111ページ
次へ

差異化想

お前のことが嫌いだって云うから 俺もそいつのことが嫌いになった ただそれだけのこと それっぽっちの理由で 何もかもが嫌いになってしまったんだ 気に食わないのなら壊してしまえよ 誰に教わったことでもないが 何故か染み付いて消えやしない この血を洗い流す水が欲しいんだ 陸に打ち上げられた鯨の話を聞いた お前も居場所がないのかい? 自分に似ていると感じたそれは 醜くひしゃげて泣いていた やっぱり愛される存在とは違うのか 俺が違うと云うのなら ちゃんと分かるように教えておくれよ なんて叫んでみても 求められない声など何処にも届かない 先行く人に離されるばかりだ 四方につくられてしまった壁を越えたら 俺だって愛されるような気がして 爪が折れて血塗れになっても構わないと 指の痛みに耐えてまでよじ登ろうとした でも、それを誰が望む? 「お前には無理だよ」 壁の上に居る誰かがそう嘲笑って突き落とす
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加