潔癖性

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しあわせそうに笑い合うふたりが嫌いでした たのしそうに笑い合うひとたちが嫌いでした そんなふうに思う自分のことを捨てきれない 自分自身が大嫌いでした こんな僕に好きになられちゃった君はかわいそうなんだろう 嫌いなものが多すぎるくせに 何かを好きになってしまうことが 不思議で仕方がない 綺麗にするために何かを汚してしまう それしか術がない僕らは きっと何かの病気なんだろう もう、そうとしか思えない 例えば僕が取り繕ったあらゆるものがいつか 僕の大切なものをぐちゃぐちゃに壊してしまったとしても 僕は僕を許せるだろうか 妄想だとしか思えない しょうもない分からず屋 自分で踏んで壊した宝物を 性懲りもなく隠したまま 他の新しい宝物を探し続けて ずっと好きだったものをまるで最初からなかったかのように 君を好きだと言える 妄想だとしか思えない 嫌いなものはどうやったって好きになんてなれやしないこと また僕は忘れ去ろうとしている
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