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誉先輩との契約。
それは誰にも知られてはいけない。誰にも気づかれてはいけないのに。
なぜか。
その契約を知ったひとが現れた。
「誉とのことを学校中にバラされたくはないだろ。俺のオモチャにもならないか?」
なんて直球。
卑下た笑いを滲ませる男に全身が総毛立った。
「なにを言ってるのかわからないけど?」
そう惚けながらもわたしの手指の先は震えていた。
平静を装いながらも戸惑いとショックで気を失いそうだった。
「はっ。とぼけてもムダだね。俺はあんたのことならなんでも知ってんだから」
楽しそうに笑い、わたしの肩に無理やり腕を置く。
胸に光るバッチはお兄ちゃんと同じ三年生の証。
「俺ね、あんたを狙ってたんだ」
「わたしを?」
「俺ね、他人のものを盗るのが趣味なの」
「……他人の、もの?」
わけがわからない。
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