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「い、…痛い、せ、先輩っ、……」
屋上の戸口に背中を押し付けられ、誉先輩はわたしの首に顔を埋めた。
噛みつくキスが首筋に痛みを引いて声が上がる。
「や、……痛いっ」
噛まれて痛い。
逃げようとすればするほどますます強い力で首筋を噛まれる。
「……あんまり俺を狂わせるなよ」
「痛いっ、やめ、」
力が入ってくる誉先輩の腕から逃げられなくて体が震えた。
やっと離してもらえたのはかなりの時間が経ってからだった。
屋上の鍵を開けて誉先輩がわたしを置いて去って行った。
しばらくしてわたしも教室に帰ると友達が顔を赤くして小声で言った。
「りんちゃん、すごいキスマークなんだけど」
「え?」
慌てトイレに駆け込んで鏡を見て愕然とした。
首には誉先輩に噛まれた痕がくっきりと残っていたから……
「誉先輩……どうして……?」
契約だけの体―――それがわたしには悲しかった………
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