『いいよ』と、答えた。

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「どうしよう…わたし先輩の子供妊娠しちゃった…」 市内で有名な堕胎病院に順子を引っ張って連れてきたのはわたし。 最近風邪気味で食欲がないと話した親友がいきなりつわりらしき症状をみせたものだから、…もしやと思って無理やり連れてきた結果がこれだなんて… 妊娠3ヶ月。 「堕胎するなら早い方がいいですよ」と、医者は無情にもそう答えた。 「夏休みが終わってしばらくするとよくあることなんですよ。珍しいことではありません」 そう、珍しいことじゃない。 一年の誰々が彼氏の子妊娠して産むから退学しただの。 二年の誰々もセンセの子を孕んですったもんだの挙げ句に結局は堕ろしただの。 と、噂には聞こえてはいたけど。 まさか。 わたしの一番大事なひとがそんなことになるなんて… しかも。 順子の言うその「先輩」っていうのがわたしのお兄ちゃんの友達で。 お兄ちゃんといつも三人でつるんでる中のひとり。
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