『いいよ』と、答えた。

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――――――――― ――――――― ―――― 息を吸って。(覚悟を決めて!) さあ息を吸って。(もう決めたんでしょ。りんしっかりしなきゃ!) ちゃんと息を吸って。(大切な順子を守りたいんでしょ?勇気を出して!) 「あの!お願いがあるのっ!」 お兄ちゃんの部屋に遊びにきた順子の彼氏(アキ先輩)じゃない方の誉先輩(ほまれ)に思いきって声を掛けた。 「なに?」 低くてクールな声。 銀縁の知的なメガネを掛けた誉先輩が振り向いた。 それから部屋から出てきてくれて、タバコを口にくわえたまま廊下の壁に寄りかかってわたしを見下ろした。 「お願いって何?」 メガネの奥から黒曜石の瞳で真っ直ぐに見つめられてドキリとした。 「あの…どんなことでも言うこと聞くから、今から言うわたしのお願いを聞いてほしいの」 足が震えた。 わたしが今言おうとしてるのはひどいこと。 きっと誉先輩を傷つける。
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