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ぎゅっと目を瞑った。
言っちゃった。
もう後戻りできない。
「堕ろすのは決めたの。ただ…」
子供の父親の欄に署名してほしいなんて言えなくて。
それを誉先輩に告げるのは誉先輩を傷つけることだってわかってて。
だけど、他に相談できるひともいるわけじゃなくて。
だから……
「―――俺に形だけでも父親になってくれってか」
あたしは頷いた。
ヒドイことを頼んでるってわかってる。
共犯者になってほしいと頼んでるんだから。
ギュッと目を瞑ったまま誉先輩の言葉を待った。
断られるってわかってる。
だけどわたしは順子を救いたかった。
どうしても!
「………わかった」
「うそ…いい、の?」
「ああ、いいよ。そのかわり」
ゴクン
わたしは誉先輩の顔を息を詰めて見つめた。
「おまえが今日から俺のオモチャになるんだったらな。交換条件だ」
魅惑の笑みを浮かべる。
それは悪魔の微笑みだった―――
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