出逢いは、突然。~side K~

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カーテンの隙間から差し込む朝日の明るさが、 今日は快晴だと教えてくれる。 枕元の時計は、6時より少し前。 そろそろ起きなくてはいけない時間だ。 ベッドの中でバンザイの格好になって伸びをしたら、 そこから反動をつけて起き上がる。 ふぅ、と一息ついたら、ベッドから降りて洗面所へ。 私の日課。毎日、ここから始まる。 トーストとコーヒーだけの簡単な朝食を摂りながら、 テレビのニュースをチェックして。 食器を片づけて、着替えて、お化粧をして。 「よし、今日も一日がんばるぞ。」 鏡の中の私に向かって唱える、おまじないのような言葉。 これも日課。 1人暮らしのアパートの部屋のカギを閉め、ヒールの靴音を お伴に、駅へ向かう。 いつも同じ時間に家を出て、同じ時間に駅に着き、 同じ時間の電車に乗る。 勤務先の最寄駅である、終点までは約30分。 上手い具合に座席に座れれば、ちょっとした二度寝タイム だが、ときどきタイミングが悪くて座れないこともある。 電車が、来た。 今日は、どうかな。 ドアが開く。 …よかった、今日は座れた。 正直、まだ少し眠かったんだよね…と、私は、電車が 動き始めて間もなく、瞼を閉じた。
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