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”次はぁ、終点―――終点です。お乗り換えのご案内を…”
車掌のアナウンスで、目が覚めた。
座席に座ってから、ここまでの記憶が全くない。
…どれだけ爆睡してたんだ、私。
徐々にスピードを落として終点駅に入っていく電車に
揺られながら、はふ、とあくびを噛み殺す。
本当は両腕を思いきり伸ばしたいけれど、こんな
混んでるところじゃ無理。
仕方がないから、代わりに首の運動。
キッというブレーキ音と共に、電車が停まる。
さて、と声に出さずに呟き、立ち上がる。と。
コン。
「イタ。」
顔面に、吊り革がぶつかった。
…またか。
いつもの事なんだし、いい加減、私も学べよ、と
自分につっこみながら左手で暖簾のように払って、
一歩、足を踏み出しかけた時。
何となく、視線を感じたような気がした。
女性にしてはかなり身長が高い私は、普段から
目立つ事が多く、おかげで他人から見られる事に慣れては
いるのだけれど。でも。
気になって、ふとその視線(らしきもの)が送られて
くる方へ顔を向けると。
目線が同じ高さの高校生が、私を、見つめていた。
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