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彼は、私の身長によほど驚いたのか、口を半開きにして
目を丸くさせたまま、微動だにしない。
きっと、鳩が豆鉄砲を喰らうって、こんな表情なんだ
ろうな、と思わず口角を上げかけて…我慢した。
こんな、見知らぬ女に笑われたら、あの少年はきっと
傷付いてしまう。
傷付くだけならともかく、女性に対して何らかの
トラウマを抱えるような事になってしまっては、この先
長い人生、可哀想すぎる(考えすぎかな)。
でも、だからって、いつまでも我慢はできない。
何たって、あんな見事な「鳩豆」顔なんて、なかなか
お目にかかれるもんじゃない。
…やばい、また口元がゆるみそうだ。
彼に見られないよう、さっさと降りてしまおう。
改札を通り、駅の地下に広がる商店街を通りぬけて、
会社の入っているビルのエレベータに一人で乗りこんだ
ところで、私は我慢していた分も含めて、思う存分、
顔を緩めた。。
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