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数分後。
和哉と俺は、乗車率150%の電車に揺られていた。
俗に言う、電車通学。
雑誌やマンガでよく見る、電車内での運命の出会い
なんてモノには全く縁もなく。
ただひたすら毎日、同じ時刻の電車に乗り、高校へ通う。
「なぁ、涼介。」
両手で吊革につかまり、体重の殆どを預けて立っている
和哉が、おもむろに口を開く。
「…なんだよ。」
「俺らさぁ、いっつもこの時間の電車じゃん。
学校に着くの、早すぎんだよね。
別に部活の朝練に行ってるわけじゃないんだし、もう2本くらい後のに変えてもよくね?」
そうなのだ。
俺は、通学するには多少早い時間の電車を、あえて選んでいる。
が、決して電車の本数が少ないからではない。
通学で使っているこのローカル線は、15分おきにダイヤが組まれている。
どの部にも所属していない俺たちは、もちろん朝練なんて当然あるわけがない。
だから、時間的な事だけを考えれば、和哉の言うとおり2本分くらい遅くしても、遅刻の心配は全くない。
いやむしろ、いつもの時間の方が学校へ着くのが早すぎて、時間を持て余すほどだ。
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