dark moon

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「さあ?それは梓に聞いてみないと分からないね。ただ、ひとつ言えることは……梓はすごく頭が良いよ。それから、相手の心理を読み取ることもすごく得意。だからこそオセロで世界大会にまで行けたと思うんだよね」 「ああ」 なんか納得。あのときもきっと、俺が何を出すか、次の次の手くらいまで読めてた。だからこそ、あえて劣勢を装って、最後はこっちの心が折れるくらいにひっくり返していった……。 なんていうか、性格わる~っ。 「まあ、簡単に言えば、策士ってとこ」 「さく、し?」 「本当、尊敬するよ。本気になったものへの異常な執着心だけは」 水沢先輩は呆れたように笑って言うと、静かに味噌汁をすする。 「安心して?悪いヤツではないから。ただちょっと策士すぎてやり方が姑息というか素直じゃないというか……まあ、でも、根はマジメだから。それだけは俺が保障する」 「は、はあ……」 水沢先輩みたいに誠実そうな人が保障してくれるなら本当に悪い人ではないんだろうけど……なんだかなぁ……てか、結局どんな人なんだ、三日月先輩って。頭が良くて、人の心理が読めて、策士、でも根はマジメ……どんな人間ですか、ソレ。 「じゃじゃーん!ちらし寿司おかわりしてきちゃったー!」 「あ、おかえり。てか、なに、その日本昔ばなし状態のごはんは」 ルンルン気分でおかわりから戻ってきた真田。本当に脳内小学生。 「相変わらず良く食べるね、真田くんは」 「あ!水沢先輩!帰ってきてたんですか!?おかえりなさいっ」 「うん、ただいま」 「良かったら先輩も半分食べます?ちらし寿司」 「大丈夫。間に合ってます」 「そうですかー。じゃあ遠慮なくいただきます!」 やんわりと断る水沢先輩に、何も考えていない真田。ああ、本当にどうして俺は水沢先輩と同じ部屋じゃなかったんだ。せめて俺の名前が佐々原だったら、水沢先輩と同じ部屋だったというのに……こういうときばかりは自分の苗字が憎い。 食堂でごはんを食べたあとは、お風呂に入って、その後、真田が課題終わってないっていうから真田の部屋で勉強に付き合った。その間、水沢先輩は自分の机で小難しそうな、俺だったら読んで5分で睡魔が襲ってきそうな本を優雅に読んでいた。どこぞの誰かさんみたいに変なちょっかいは出してこない。いや、むしろ、それが当たり前なわけだけど。
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