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「あっ!や、だっ、せん、ぱ、ぃっ…ああっ」
「東雲は耳がいちばん気持ち良いんだもんね」
舌先が耳の入り口を丁寧に刺激し始める。一度味わった快感が蘇って体がさらに熱くなる。
「それっ、されると、本当に、やばいっ……!」
「どうやばいの?」
「ふ、ぁっ!!ああっ…はっ、あ……」
「感じちゃう?もっと、してほしくなる?」
その状態で、喋んないで……マジで、もう、限界っていうか。
「や、だっ……」
「でも知りたいんでしょ?自分の気持ち。やめちゃっていいの?」
知りたいけど、でも、それは、反則っていうか……だめ、ほんと、も、無理。
「あ、ぁっ…せんっ、ぱい……」
腕を伸ばすと先輩の背中にぎゅ、と回して子どもみたいに抱きつく。こうでもしないと、体がぐちゃぐちゃに溶けちゃいそうな気がして怖かった。
「先輩っ、や、あ……っ」
「大丈夫だよ、何にも怖くない」
また、分かったようなこと言って……なんなの、なんでこの人、俺のこと見透かしてんの。俺以上に俺のこと知ってんの?意味わかんないし。
「……律。口開けて」
あ、また律って呼んだ。
言われるままに口を開ければまた舌が絡みあう。まるで繋がりあうみたいにゆっくりと、確かに、絡む。
先輩は俺の腕を取ると、手の平をそっと重ねて指を絡めた。
「こうすると、安心するでしょ?繋がってる、って感じがして」
手の平から伝わってくる体温はすごくあったかい。先輩の体温が伝わってくる。そう思ったら余計に顔が熱くなって、心臓が激しく鼓動する。
「安心しないんですけどっ……むしろその逆っていうか」
「逆?」
「余計に顔は熱くなるし、心臓はドキドキするし、自分が壊れそうで、なんか、怖い……」
自分の意志とは関係なく溢れてくる涙で視界がかすむ。良かった……先輩の顔、ぼやけて見えるわ。暗いし、ぼやけてるし、どんな表情かなんて分からないけど、先輩は小さい声で、
「それ、反則」
とだけつぶやくとまた唇を落とした。
唇を貪るように重ねたあとで、体の至るところにキスの雨。
降っては体中に赤い跡を残していく。
見えないけど、分かる。跡をつけられていく感覚が。
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