プロローグ

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大学生になって3カ月が経った。 高校に入学したときから第一志望として掲げていた大学だった。 だから、合格発表で自分の受験番号があったときは、周りのことなど気にせず喜んだ。 県外に位置していることも気には留めなかった。 長めの春休みを、疎ましくさえ思った。 この地方では偏差値が高い学校で知られ、オープンキャンパスの授業公開では、先輩たちの授業姿勢に感動した。 しかし、理想が大きいほど、現実を目の当たりにして、僕はショックを受けた。 実際は、授業中の私語や携帯は日常茶飯事。 受ける講義のほとんどは、授業崩壊ではないかと思えたほどだ。 最初は周りの連中を蔑むように見ていた僕も、いつしかその濁流に飲まれ、自らの手で理想を打ち砕くようになっていた。
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