プロローグ

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「沙奈ちゃんね、今度結婚するんだって!」 「え…?」 僕は母の言葉を上手く飲み込むことができなかった。 結婚…?沙奈姉ちゃんが…? 「ちょっと、あんた、聞いてるの!?」 僕の反応に満足いかなかったのか、母は言った。 「あ、うん。聞いてるよ」 母の期待とは裏腹に、僕の反応はやはり薄かった。 「あのね、結婚よ?結婚!おめでたいじゃないの!」 電話の向こうで母が燥いでいるのは、何となく理解できた。 僕の反応を待たずして、どんどん話していく。 どうやら、このおめでたい話を、一人でも多くの人間に話したいらしい。 従姉妹なのだから、そんなに自分のことのように話さなくても良いだろうに。
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