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「光黄君大好き!」
「ありがとね~」
「はい、お時間です。」
俺の名前は瀬斗光黄。
男装アイドルユニット、風男塾のメンバーだ。
今はリリイベの握手会をしている。
「光君!これあげる!」
「え?なになに?おおお!リラ様じゃん!可愛い~ありがと!」
「可愛いよね!光君好きそうだなと、思って!」
「うんうん好き!ありがと!」
緊張しているのか、顔を真っ赤にしながら一生懸命話す女の子に俺は笑顔を向けた。
このリラックマ前にも同じの貰ったけどね…
「それでね……」
「ふふ、ありがとね~!また待ってるよ!」
スタッフに肩を押され、残念そうな女の子を見送り向き直った俺の顔が引きつる。
「光黄君!久しぶり~!」
「久しぶりだね!きてくれたんだ!」
「もちろん!」
俺は記憶力が良い方だ、その中でも彼女は印象強い…よろしくない方の意味で…
彼女は、なみちゃん。
実名はもちろん知らない。
昔から色んなLIVEや風べに来てくれる子で、要するに古参というやつだ。
「昨日いなかったからさ~、なみちゃ………」
「ちゃん付けやめて。」
あ、やべ、やらかした…
そう、彼女は少し面倒なファン…
「ご、ごめん…」
「まぁ、いいや、光黄君と私の子供の名前どーする?」
「こ、子供!?」
「そうだよ!え、何?嫌なの?」
「いやいやそんな事ないよ!むしろ嬉しい!」
俺は必死に笑顔を作りながら彼女を見る
「名前は光黄君とわた……」
「お時間です。」
た、助かった…
「わたしの名前をとって、みきとか?」
「あはは~いいね~」
肩を押されても話し続ける彼女の手をさりげなく解いて、俺は適当にあしらう。
いつもそうだ。
スタッフさんが優しいの知ってて、時間が過ぎても俺に話し続ける。
でも、彼女の売り上げは相当なまので…俺が塩対応なんてしたら…
怖いなぁ…
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