第1話

4/6
前へ
/6ページ
次へ
「光黄君大好き!」 「ありがとね~」 「はい、お時間です。」 俺の名前は瀬斗光黄。 男装アイドルユニット、風男塾のメンバーだ。 今はリリイベの握手会をしている。 「光君!これあげる!」 「え?なになに?おおお!リラ様じゃん!可愛い~ありがと!」 「可愛いよね!光君好きそうだなと、思って!」 「うんうん好き!ありがと!」 緊張しているのか、顔を真っ赤にしながら一生懸命話す女の子に俺は笑顔を向けた。 このリラックマ前にも同じの貰ったけどね… 「それでね……」 「ふふ、ありがとね~!また待ってるよ!」 スタッフに肩を押され、残念そうな女の子を見送り向き直った俺の顔が引きつる。 「光黄君!久しぶり~!」 「久しぶりだね!きてくれたんだ!」 「もちろん!」 俺は記憶力が良い方だ、その中でも彼女は印象強い…よろしくない方の意味で… 彼女は、なみちゃん。 実名はもちろん知らない。 昔から色んなLIVEや風べに来てくれる子で、要するに古参というやつだ。 「昨日いなかったからさ~、なみちゃ………」 「ちゃん付けやめて。」 あ、やべ、やらかした… そう、彼女は少し面倒なファン… 「ご、ごめん…」 「まぁ、いいや、光黄君と私の子供の名前どーする?」 「こ、子供!?」 「そうだよ!え、何?嫌なの?」 「いやいやそんな事ないよ!むしろ嬉しい!」 俺は必死に笑顔を作りながら彼女を見る 「名前は光黄君とわた……」 「お時間です。」 た、助かった… 「わたしの名前をとって、みきとか?」 「あはは~いいね~」 肩を押されても話し続ける彼女の手をさりげなく解いて、俺は適当にあしらう。 いつもそうだ。 スタッフさんが優しいの知ってて、時間が過ぎても俺に話し続ける。 でも、彼女の売り上げは相当なまので…俺が塩対応なんてしたら… 怖いなぁ…
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加